着生ランの根の不思議
突然ですが着生ランの根って、不思議だと思いませんか?
普通の植物なら、土から抜かれた根は水分を失い枯れてしまいます。
対して着生ランの根はむき出しですが、枯れることはありません。
何故でしょうか?
今回は、着生ランの根の不思議について見て行きたいと思います。
着生ランは気根(または着生根)と呼ばれる根を出して、樹木に張り付いて着生しています。
気根とは、植物の地上の部分から生じ、空気中に露出している根を言います。
着生根の根冠が支持体に触れると、根毛が発達し樹木や支持体の凹凸の中に入り込むことによって付着するようです。
根冠とは、根の先端を包んでいる柔細胞から出来ている組織のことです。
根端分裂組織から外側へ作られながら、それを保護、粘液を分泌しています。
また、重力による屈地性、つまり植物の根が重力により曲がる性質の感知と関係があるとされています。
ランの着生根には根被(Velamen)、またはべラーメンと呼ばれる、根の外側にある組織があります。
根の表皮が多層化してできたスポンジ状の層で、栄養吸収やUV障害から身を守る役割、水分を蓄える機能をもっています。
この根被は死細胞によってできているため、根被が十分発達していません。
生きている細胞層が外側にある根冠は根毛を発達させることができますが、根被が発達し、死細胞に包まれた着生根(灰白色に見える部分です)は新たに樹木に貼りつくことはできないようです。
根毛は基物に接する側だけで形成され、樹皮の中に入り込むことが観察されるため、張り付く機能があると考えられています。
ですが、すべてのラン科植物が根毛を形成するわけではないそうです。
そのため、根冠または表皮細胞自体も何らかの張り付く役割を持っていると推察されています。
根冠について、糊状の物質を分泌しているかどうかなど、その機能についてきちんと検証した研究は今の所ないようです。
要約すると、
☆着生ランの気根には、べラーメン層という組織がある。
☆気根は死細胞に囲まれているため、枯れにくく、中心部の生きた細胞は外気の影響を直接受けにくいので、空気中に根が露出しても大丈夫。
☆むき出しの根を、死細胞で包むことで、一時的に水分を貯蓄し、吸収することを可能にしている。
以上の点から、根がむき出しになっいても枯れずに環境に適応して生きることが出来ていると言えます。
植物が環境に適応して、生きるための能力。
本当に素晴らしく、神秘的ですね。
それではまた╮(. ❛ ᴗ ❛.)╭